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静寂の茶道/躍動の花道

わびさび進化系

数十年にわたる「おけいこ」での琴線にふれた出来事、そして事件。

「茶の湯」を代表する流派
表千家
さどうと呼び、膝の上での組み方は左手を上にして、刀を持つ右手を下にして、敵意のないことを表します。お抹茶をあわ立てていただきます。
裏千家
ちゃどうと呼ぶ。右手が上、いっさいの欲や敵意を茶室に入る前にすべて落としてくる(清めてくる)ので、利き手の右手を上にしても大丈夫だという意味です。泡を立てないのが基本。
武者小路千家
ちゃどうと呼ぶ。
「茶の湯」の心は、「おもてなし」の一言に尽きます。作法も、茶室のしつらえも、全てお客さまの心を解放し、来てくださったことへの感謝を伝えています。目の前でお茶をたてる様子をあがめ、お菓子とお茶を味わい、和んでいただく・・・姿勢をただし、身体と心で、「味わう」ことにだけ集中するのです。非日常的な空間の中で、脈々と受け継がれてきた伝統文化が教えてくれる和の想いは、本当に深く、清らかなものです。どれだけお稽古を積んでも、尽きることのない鍛錬の道。
緊張しても愉しむこと・・・「お茶会」
一年を通して、季節を愛でるお茶会が、数多くございます。お手前を受けるもの行うのも緊張いたしますが、
お稽古のときと同様、心を鎮めて、お菓子やお茶、お道具の文様、風情、お花…ちりばめられた「おもてなしの気持ち」を、真摯に感じて、静の鼓動を味わいます。

お食事も催されるのが「お茶事(ちゃじ)」、「お茶事」は初座と後座で構成されています。初座では炭をおこして懐石料理を頂きます。後座では濃茶を頂いて炭を直して薄茶を頂きます。お茶事には、正午の茶事、暁の茶事など、いくつかの種類がございます。それぞれに、季節を重視し、和の想いを込めて味わいます。お茶会やお茶事が終わった後は、爽やかな疲労(笑!)とともに、所作の反省点も…何年続けていても、日々鍛錬の道でございます。
「お点前」頂戴いたします
お薄は器の3分の1弱あたりに、お抹茶の風味、色に想いを込めて点ててゆきます。お抹茶そのものに、感謝いたしながら…お客様に、嬉しい気持ちをお伝えすること。

「結構なお点前で・・・」とは、申したこともありませんし、どなたかがおっしゃったことを聞いたこともありません。お点前がどんなに素晴らしくとも「お茶」が美味しくなければ意味がありませんから。「大変美味しく頂戴いたしました。ありがとうございました。」心からの気持ちを、流れに沿って、丁寧にお伝えいたします。
お菓子@・・・「干菓子」 ※オン・マウスで写真が入れ替わります※
素晴らしいお菓子の世界が、茶道の魅力のひとつだと日々、感じております。四季を感じさせる味わいのあるもので、お茶の味を引き立ててくれるものです。使われている材料の良さと菓子の新鮮さが求められます。

茶道において菓子は主菓子(おもがし)と干菓子の2つに大きく分けられています。主菓子はお饅頭や餅菓子、羊羹、練切などの、ボリュームのあるお菓子、干菓子は、落雁や有平糖、金平糖、お煎餅などです。

こうした菓子を使うことで、舌に感じる味に重点をおくことができます。
お菓子A・・・「夏のお菓子」 ※オン・マウスで写真が入れ替わります※
巡る四季の風情を、磨きぬかれた技と粋で表現する和菓子。お茶席において、お茶花やお菓子で、季節を愛でる風習は、わたくしがもっとも感銘をうけている、日本人の誇りでございます。お干菓子は、通年、お薄に添えられますが、夏には夏の涼しげなお干菓子がございます。透明な寒天に、くちなしの実で琥珀色を着けたことから呼び名が付いた「琥珀糖」ポルトガル語で砂糖をさす「アルフェロア」が言語の「有平糖(あるへいとう)」夏らしく、お口に含むと、ほろり!とくずれ、上品で繊細な甘さが、たおやかに溶け出します。
夏のお茶席には、打ち水や緑濃いコケの自然も、「涼」を醸す役目がございます。先人の知恵に学び、感謝しながら、深く、やわらかく、お茶の世界を学び行きたいと、臨んでおります。
お菓子B・・・「涼を奏でる」 ※オン・マウスで写真が入れ替わります※
茶道のお稽古を重ねる中で、四季折々の行事やしきたりから、日本人の繊細さと、堅実な想いを、しみじみ感じ入るときが、多々ございます。お菓子をいただくとき、その季節に、そのお材料を使い、その色、形に仕上げて、何を伝えたいのか???想像することも、愉しみのひとつ。先日いただいた、和三盆糖製打物と、干琥珀(かんこはく)は、お味や口溶けは、言の葉にするまでもなく絶品でございました(当然!!!)。
印象深いのは、水の流れや、楓の葉をかたどった、その形と色…あまりの繊細さに、驚愕でございました。見ているだけで、涼やかな清流の風や、生き生きとした青葉の葉擦れの音が聞こえてくる気がいたします。おもてなしの所作に籠めた、感謝の想いを、お点前を通して、柔らかく伝えてゆきたい…初心を決して忘れることなく、日々、精進してゆく所存でございます。
茶道具


帛紗(ふくさ)
帛紗(ふくさ)とは、茶の湯でお手前の際に茶器を拭いたり、ご拝見の折に器物の下に敷いたりする方形の布のことで、「服紗」、「袱紗」などとも書きます。袱紗物(ふくさもの)とも呼ばれております。大きさは八寸八分×九寸三分(曲尺)が利休形とされております。仕立て方は、三方縫いで、縫い目のない折りめの一辺をわさと申します。
帛紗には、「使い帛紗」と「出し帛紗」があり、使い帛紗は、お点前のときに、茶器や茶杓を拭き清め、釜の蓋などの熱いものを取り扱う時に使い、用いる裂地は主に塩瀬(畝のある羽二重)で、男性は紫色、女性は朱色、老人は黄を基本とし、染柄も趣向で用いられております。出し帛紗は、濃茶のとき茶碗に添えて出す帛紗で、用いられる裂地は名物裂などで、大きさは流儀により異なり、表千家や武者小路千家では小帛紗は使わず、使い帛紗と同じ大きさですが、裏千家では出し帛紗には「古帛紗」と称する寸法が五寸角で出し帛紗より小さい小帛紗を使います。
表千家4代逢源斎江岑宗左氏の『逢源斎夏書(ほうげんさいしょ)』に、「ふくさきぬの事、休、被成候も、ちいさく角をこし二つけ申候、小田原陣二休御越之時、そうおん、ふくさきぬ大キぬい候て、薬つゝミニと御申候て被進候、休、御らん候て、此かつかう一段よく候、これよりも此様二ふくさきぬハいたし候へと御申候、ふくさ物と申事あしく候、ふくさきぬよく候 大キサ十七め、十九め尤二候」とあり、『不白斎聞書』には「寸法は畳の目十九ト貮拾壹目也、此寸法は利休妻宗音より、利休戦場江御供之時、服紗に薬を包被贈、此ふくさ寸法能候、今日より是を可用とて、此寸法に極候也」とございます。
帛紗の寸法は、千利休の妻・宗恩の作意によるものとされております。一時は三千家で統一されたのですね。畳目で測るというのも趣深い気がして、とても風情を感じるところでございます。
茶筅(ちゃせん)
使った後は、キレイに乾かしておくのが一番大事。
手首のしなりを使って、エレガンスに、無駄なく、流れるようなお点前でおもてなしの心をお伝えいたします。
柄杓(ひしゃく)
杓とはお湯やお水をすくうための道具でございます。お点前でつかう柄杓は竹でできています。柄杓は、炉用(11月〜4月)風炉用(5月〜10月)にわかれております。そのほか、外でつかう(つくばい用)、水屋(みずや)でつかう水屋用などは、木をうすくして、丸くまげた曲物(まげもの)をつかいます。いずれも丁寧に扱うことはもちろん、柄の部分を綺麗な手の形を作って、美しくお手前の手順を踏むこと。身体の正面に、扱うお道具を・・・目線もしっかりお道具において、向き合ってお点前を進めてゆくことが、肝心でございます。気持ち身体も、ビシッと一本、筋が通って点てるお茶ともども、晴れ晴れとした想いがかよいます。
茶釜(ちゃがま)
分福茶釜で知られるように茶釜は小さなものは直径30cm程度からあり、主に鉄で作られております。ゆらゆらと、優しく揺れる湯気をみていると、気持ちがしっとり鎮まり身体が落ち着いてまいります。このわずかな時間が、お稽古ではとても貴重で、わたくしには本当に意味のある瞬間でございます。お道具の一つひとつに、役割がございますが、こころを導くことも、その中に含まれていると感じております。

永く、大切に慈しんでゆかねばなりません。
☆ちょこっと小話☆ 小道具編
袱紗(ふくさ)色やサイズに決まりがございます ※オン・マウスで写真が入れ替わります※

表千家では女性は橙色で男性は紫色、裏千家では男性は同じく紫色ですが女性は赤になります。作法に関しても部屋の出入りの際の足の入り方や歩き方・立ち上がり方など細かな決まりがあります。お茶の泡の立て方も表千家と裏千家ではもちろん異なり、適度に泡立てるのが表千家で細かな泡をしっかり立てるのが裏千家。

表千家では、お菓子を盛る器には蓋が付いている菓子器にお菓子を入れて、お出しいたします。菓子器の世界も陶磁器から塗り物、ガラスなど様々な風情を、茶器同様に愉しんでおります。永きにわたる茶の湯の精神と、粋。取りこぼすことのないよう、ユーモアと好奇心で、エレガンスな人間性も向上したい、わたくしでございます。
☆ちょこっと小話☆ うつわ編
あまり厚みのある「お抹茶椀」は、得意ではありませんが ※オン・マウスで写真が入れ替わります※

この器は、大きさが小ぶりで、わたくしの手のひらにしっくり落ち着きます。お稽古を重ねるにつれ、器との出逢い、相性の善し悪しに心が敏感になってゆきます。考えないで、感じること...想いを寄せることのできた器とは、信頼関係を築ける気がして、安心致します。想いを込めて点てるお茶には、こころの通った器が美しい。この先、どんな素敵な器が待っているのか?底知れない茶の世界を、もっと愉しく、もっと真摯に、まっさらな気持ちでお勉強してゆきたい...おもてなしの想いは、人生のベースにしっかりと添えられております。
もっとも基本的な「お抹茶椀」 ※オン・マウスで写真が入れ替わります※

お抹茶椀は、様々な形状がありますが、基本的なものは、底が平らで傾向は15センチ大というのが良い状態でお茶を点てる器とされています。
今、お茶のお稽古で、一番使っているお気に入りの有田焼。

スススーッと手のひらに馴染みます。
焼き物の中で、心底すきなのは「有田焼」青磁も白磁も、そのしなやかさと艶、奥ゆかしさが気持ちを和ませまろみをくれる「有田焼」に、小さいころから親しんでまいりました。

「伊万里焼」にも通じる歴史を踏まえながらも、今なお進化し続ける「有田焼」の力強さに改めて、打たれております。お茶やお花、料理、ワイン…わたくしの暮らしに欠かせない陶磁器の世界もまた、尽きることのない、神秘の世界。

その魅力を知り尽くしたい想いで、日々、励んでおります。体力勝負・・・トホ。
「青磁の鉢と小皿」

有田焼が大好きで、器には生涯こだわりを持ちたいと、日々、お勉強いたしております。お料理を盛る愉しみを、より深めてくれるのが、つるりな感触の青磁。

お店に入って、目が合う…手にとってバキュン!とくれば、キタァァァァァーッ☆器との出逢いも、ワインと同様、暮らしを豊かにしてくれる必需品でございます。
「大皿も大鉢も」

誰が何と言おうと、わたくしが良いと思えば、逸品もの。お料理はもちろん、お花も活けたり、お菓子を盛ったり致します。
こころを寄せることのできる器に囲まれていると、嬉しくて、愉しい毎日なのでございます。

感謝!感謝!感謝!
お祝いの気持ちを込めて、お花を活ける・・・お玄関編

活けたお花を、どこに置くか(飾るか)???を想定したうえで、お花のセレクトや活け方を決めるのは、とても大切なことでございます。
特に、大切なお客さまをお迎えするような場面では、お玄関にきちんとした生け花を添えると、歓迎の気持ちをより丁寧にお伝えすることができる気がいたします。

もちろん、床の間やリヴィング、廊下にも、センスをいかしてお花を活けることは、とても素敵ですし、愉しい作業でもございます。
家族のお祝いのためにお越しくださるお客さまへの、感謝を込めた生け花は、華やかな中にも、季節を想う日本のお花を沿わせたいものでございます。りんどうやゆりなど、割合長く持ちますし、つぼみで活けて、時間を追うごとに咲き進んでゆくお花は、表情の移ろいも愉しいものでございます。

お客さまをお迎えするときに、まだつぼみだったゆりは、お帰りになるころ、膨らんで咲き始めておりました。お花を活けるとき、気持ちが透き通って、お花と対話しながら鋏を入れることに集中してゆきます。活け終わると、身体も心も涼やかな倖せに包まれるのでございます。

お花を活けることが、本当に愉しくて大好きっ♪♪♪たくさんの人を、わたくしの生け花で倖せにしたいのでございます。!
春を息吹く活け花

活け花を学ぶことで、季節を先取りする倖せを、しみじみと感じております。厳しい寒さが続いても、木瓜の薫りは凛と高く、桃は膨らみ、桜は芽吹いているのでございます。
木々のひたむきで、底知れない力強さを体感する時、再たる進化を心に誓うわたくしでございます。活け花を学んで早30年あまり…初春の1月にしか体感できない、春の訪れを告げるお花は、毎年のことながら、背筋がピンと張る、心地好いものでございます。
「いけばな」を代表する流派
華道にはさまざまな流派があり、様式・技法は各流派によって異なります。華道は日本発祥の芸術ではありますが、現代では国際的に拡がり、各支部も多数存在いたします。
欧米のフラワーデザインは、3次元のどこから見ても統一したフォルムが感じられるように生けるとされていますが、華道の場合、鑑賞する方向を正面と定めている流派も多く、3次元の空間を2次元で最大限に表す流派もあります。また華道は色鮮やかな花だけでなく、枝ぶりや木の幹の形状、葉や苔などすべてを花材とし鑑賞する点でも、海外のアレンジの概念とは一線を画していると言えます。
池坊(いけのぼう)
開祖・池坊専慶が京都の六角堂池坊の僧侶だったことに因む池のほとりに住んでいたので、池の坊という説がもっとも有力。日本最古の流派で、池坊の家元は代々、頂法寺に僧籍を置くものとされています。池坊の花は立花に始まり、その後生花、投げ入れ、盛花と発展してきました。
小原流(おはらりゅう)
小原流の祖は、盛花を考案し、また池坊の要職にあった小原雲心です。雲心は盛花に、各流派がこばんでいた洋花を取り入れいけばなを大衆化した功績で知られています。また、二代目光雲は男性ばかりで占められていた教授の職を女性にも開放するなどいけばなの近代化につとめました。三代目豊雲も海外での活躍など意欲的に活動し、その地盤はもはやゆるぎないものとなり、池坊、草月流とともに三大流派と言われるまでになりました。
草月流(そうげつりゅう)
流祖は勅使河原蒼風です。特色は、自然らしさよりも、いけた人の主観がより強く生かされるところにあります。花材には枯れ枝や石や金属なども使用されます。いわゆるオブジェと称する造形的ないけばなが、草月流のいけばなです。
いけばなの歴史
一言ではとても言い尽くせないほどの歴史がありますが、知っていてソンはない知識として・・・いけ方のお話。
たて花 鎌倉から室町、安土桃山時代にかけて書院造りという建築様式が確立され、床の間が出現いたします。床の間には掛け軸や香炉、花などが飾られ、鑑賞されました。この床の間の花が様式化されて生まれたのが「たて花」です。
立花 初代、池坊専好が確立し、二代目専好によって大成されたいけばなの様式です。江戸時代初期には、一大ブームを巻き起こし、最初の流派が生まれました。立花(華)を生けるのは池坊だけです。
茶花 茶室の構成要素として誕生したものです。たて花が立花として大型化する一方で、投げ入れ花が小型化し、茶花となりました。
生花(ショウカ・セイカ) いけばなは、江戸時代の後期になると、一般の人々にも普及しました。そこで誰にでも習得し易いやさしい形式を備えた「生花」の様式が誕生しました。
盛花 明治時代、池坊の要職にあった小原雲心は、それまでなかった水盤という花器を使ったいけばなを考案し、脚光を浴びました。これが盛花と名づけられ雲心は後に小原流を創立します。始めははっきりした花型を持たなかった盛花も、いけばな人口の増加に伴って誰にでも理解しやすい花型が規定され、今日に至っています。
投げ入れ花 江戸時代になるとそれまであった単純に瓶にさす投げ入れが、華麗な立花に対して普段着のいけばなとして再評価されます。その後、大正、昭和にかけて盛花と共にやさしい花型が規定されました。
自由花 大正から昭和初期に登場したもので、造形的な表現を盛り込んだいけばなです。
前衛花 前衛花は金属や、石など植物以外の花を取り入れ、彫刻を思わせるようないけ方、造形いけばなともいいます。
お花の水揚げ
お花を生けるとき、お花に感謝しながら、最初に行う作業が水揚げ。この手順を丁寧にこなすことで、みずみずしさが長持ちし、花器の中で、美しさも際立たせることができるのです。
水切り 水中で、切り口を 再度切り返します。切り口の空気の部分を切り落とし、茎内の水と直結させます。
焼く・煮る 切り口に熱を加え、水分を蒸気にさせる作業。水分を押しあげ、急冷する事によって、凝結作用で水揚げさせるのです。刺激剤とし て塩を入れる場合がございます。
薬品 ハッカ油、酢酸、硝酸、アルコールに、茎の切り口を浸します。焼きミョウバン等を、斜めに切り落とした茎さきにすりこみ、細胞を刺激して、吸収力をUPさせます。
この手法は、あじさいに良く用いられるものでございます。
 
逆水 茎を逆さにし、葉の裏側に上から水をかけます。 葉の水分の蒸散作用を抑え、萎れにくくするためです。
深水 容器に深めに水を入れ花を立て、水圧によって吸収力をあげてゆきます。
ポンプ 水揚げが非常に悪い植物に、小型ポンプ(お花専用)で、圧力をかけて水を注入いたします。
お正月のお花 
新年を迎えるにあたり、よく取り扱うお花とその由来のお話。おせち料理と同様、「理由(わけ)があって」用いられております。神聖なる気持ちで活けるお正月花。パリッと仕上げて、素敵な一年でありますように・・・願いを込めてこころして、活け込む所存でございます。
 
菊  かつては9月9日の重陽の節句に、不老長寿の薬効があると信じられ、菊の花びらをお酒に浮かべて飲む習慣がございました。 
南天  「難転(なんてん)」に通じ、不浄を払う木として、また火難除けとして用いられます。さらに成就の吉祥、「成天」(ナルテン)にも通じるとの云われがございます。 
根引き松  大地を踏みしめ、地に足がついた生活が送れますように・・・との願いから、根を残した松(若松と同じ黒松です)。活ける場合、根は切り落とす事がほとんどですが、門松として飾る場合は根を付けたまま飾ります。
松  真冬でも青々とした葉を茂らせることから、長寿と健康のシンボル。神の降りてくる依代(よりしろ)でもある為、新しい年の神様を迎える為に門松を飾ります。松の字の由来は ハ みんなで分けあいみんなの物にする。ム 抱え込む、独り占めする。つまり、大事な物は一人で抱え込まないで、みんなの物にする。みんなのよりしろに使う木が松。まつと呼ぶ由来は、神をまつ。神を祀る(まつる)。から来ている説がございます。
三光松(さんこうまつ)  苔がついている老木であることから、特に長寿に通ずる松。盆栽用に改良された物もあり、黒松と五葉松のかけあわせの寿松などもございます。 
まっすぐに伸びる姿と、秩序正しく付いている節目が、一年の始まりに相応しい節操を表します。 
ストレチア 極楽鳥花(ごくらくちょうか)という和名がございます。名前のおめでたさから、お祝い花に使います。
 
水仙  冬の寒さの中で咲く姿が凛(りん)として尊ばれております。 
枝垂れ柳  枝を輪にする結び柳の手法は、円形の輪が一点から発して、また元の場所に戻ってくる形を作ります。1年が循環して、また新しいお年を迎えるよろこびを、仮託したものでございます。
バラ  古くは長春と呼ばれ、とても縁起の良いお花でございます。 
福寿草  お花の福々しい様子と、葉が、長寿に効があるという人参の葉に似ている事と、お正月頃に咲くので、元日草(かんじつそう)と呼ばれ、新年を祝うおめでたいお花でございます。
注連縄(しめなわ)  神さまが降臨した、清浄な場所を示す為の標識であり、不浄物の侵入を防ぐ魔除けの意味がございます。伊勢海老、橙(だいだい)、昆布(こんぶ)、干し柿をつけるのは、歳神(としがみ)さまをお迎えするおめでたさと、豊富に食料を蓄える事への祈願なのでございます。
炭(すみ)  「住み(すみ)」にかけ、安住を願うものでございます。 
干し柿 「嘉来(かき)」に通じ、縁起が良いとされております。 
梅  寒い時期にほころび初め、百花に先駆けて咲き、春を告げる事や、香りの良さが、古代から愛されてまいりました。
橙(だいだい)  「代々(だいだい)の繁栄」を意味すると供に、豊かな実り、豊作を表しております。 
金柑(きんかん)
柚子(ゆず) 
大地からの恵み、人間としての成熟、努力の結晶など、いろいろな実りを象徴する黄金の実でございます。 
椿(つばき)  冬にも枯れずに茂る葉は、榊(さかき)と同様、繁栄をもたらすもので、特に白椿は、新年の清浄感に通じるとされております。 
譲葉(ゆずりは)  春になると、新しい葉に場所を譲るように、古い葉が青いまま落ちる事から、新旧の交代になぞらえます。
 
万年青(おもと)  葉の内側から新しい葉が出て、実が付くことから、実囲いの葉として、母性愛、子孫繁栄の象徴でございます。 
稲穂(いなほ)  豊作を表しております。 
 
裏白(うらじろ)  葉が大きく二股に分かれる為、夫婦ともに白髪になるまで長寿を願うものでございす。また、裏が白いため、心に裏や偽りの無い、潔白な事を示しております。 
水引(みずひき) 贈り物をしっかり結ぶ事が目的。贈る心を先方まで、ほどかずに届ける意味がございます。本数が多く、長い程、格が上がると言われ、結び方は、あわじ結びが基本でございます。
☆松に関する小話☆ 
お花屋さんに並ぶ若松や根引松。実はそういった名前の植物はございません。若松や根引き松は共に黒松なのでございます。
一般に、3年から5年の、密集して作られた黒松が、若松と名づけられております。
密集しているので、枝が横に伸びず、まっすぐ上に伸びます。それに対し、根引松は植える間隔をあけて作るので、若松とは姿が異なっております。同じ黒松とは思えないくらい、姿かたちが違うのでございます。さらに、山若松は20年から、30年たったものでございます。
ところで、カラゲ松と呼ぶ松もございます。何ゆえ、カラゲ松???カラゲルからカラゲ松? そういう話も聞かれますが、実はこのカラゲとは仏花の事。つまり、仏花に使う松なのでカラゲ松と言うそうでございます。また、女松や男松は何松?女松は 赤松。 男松は 黒松 でございます。お正月のお花は、古来から受け継がれているとても意味の深い物でございます。新年は 凛 としたお花を飾ってお迎えいたしたいもの!